2008年11月05日

ドバイ―繁栄は素晴らしいか?

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイは、近年、世界中から人とお金が集まり、世界一の建設ラッシュに沸いていることで知られています。
壮大な建築物を建てるために、世界中のクレーンの約3分の1がドバイに集まっている、という話もあるほどです。
その建築物の壮大ぶりは、次のような記事にも紹介されています。 ドバイのこの国家的プロジェクトがどういう構想の下に行われているのかは、次の一連の記事に垣間見ることが出来ます。
「石油が出なくなる日」プロジェクト / SAFETY JAPAN [大前 研一氏] / 日経BP社
中東で脱石油を図ったドバイ」の章に載せられているグラフを見ると、ドバイ政府の財政収入では、「石油・天然ガス」の占める割合が年々減っている一方、「貿易関連手数料」と「法人税」の占める割合が増えていることが分かります。
このことから、ドバイ政府には、人が多く来て活動してくれれば手数料収入が増え、大きな企業が沢山進出してくれれば多く免税しても十分な法人税が取れる、と見込んだらしいことが窺えます。
そういうアイデアだったからこそ、「物流センター、流通センター、金融センター、観光センター」という構想を立てたのだろうし、それは実際成功しているようです。

しかし、この国家的プロジェクトは、手放しに褒め、倣うべきものなのでしょうか?
ドバイには、目立った遺跡も景勝も無く、砂漠と海しか無いようです。
そんな場所に沢山の観光客を引き寄せ、沢山の大企業を進出させるには、大変な土木・建築工事が必要でしょうが、それはどうやって実現出来るのでしょうか?

この疑問に答える一つの記事を見付けました。以下のページです。 この記事によれば、ドバイの壮大なプロジェクトのために土木・建築工事に携わっている人たちは、「一歩間違ったら奴隷のような労働者」で、「巨大な詐欺の一部として巻き込まれて」インドとパキスタンから連れて来られ、「ヘルスケアもその他のいろいろな基本的権利も手に入れることはでき」ず、「仕事を辞めて母国に戻りたくても帰れ」ず、「1か月に400ディルハム(62ポンド)しか稼げない」という状態で働いているそうです。
※2008/11/05 (水)現在、62ポンドは9775.91円だそうです。
そして、そういう労働者が30万人もいる、ということです。
ドバイ - Wikipedia」によれば、「2007年初頭にはおよそ120万人」になった「人口の約半数が低賃金で働くインドやバングラデシュなどから来た出稼ぎ労働者」だそうです。

これらの情報には、もしかすると誇張はあるかも知れませんが、全くの嘘ではないでしょう。
そうだとすると、ドバイのこの壮大なプロジェクトとその実現、繁栄は、果たして手放しで「夢」だと喝采出来るものでしょうか?
「夢」だと言うとしても、一方の人々にとてつもない犠牲を強いて、その血と汗の上で他方の人々が享受する「夢」だ、と思います。
とは言え、どこの国の物質的な繁栄も、似たようなものではないでしょうか?
日本でも、高度経済成長期に集団就職で地方から東京や大阪や愛知に出て来た人たちの少なくとも一部が、非常に悲惨な境遇に置かれていた、という話を読んだことがあります。
繁栄というものが、本当に望むべきものなのか、大いに考えさせられます。
繁栄を望むことが、実は裏の意味として、他人の奴隷化を望むことを意味しているのであれば、そんなことは望みたくありませんが…。


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posted by mosaku at 19:10| Comment(0) | 世界情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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